「若者が大都市へ流出している」は本当か? -RESASから-

地方の人口問題に共通するのが、若者(ここでは30歳未満とします)の大都市への流出です。都道府県ごとに若者が転出超(転出数-転入数)となっている相手先都道府県を見ると、ほとんどの県で東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の4都府県が上位にランクされています。例えば、岡山県では転出超の相手先のうち、この「4都府県」合計で72%も占めており、大都市に若者が流出しているのは明らかです。

しかしながら、少し様相が異なる県もあります。山口県では、「4都府県」への流出は35%にとどまる一方、隣接県である広島県・福岡県への流出が25%を占めています。「広島市や福岡市も大都市ではないか」とお叱りを受けそうですが、少なくとも山口県においては「三大都市圏に若者を奪われている」という指摘はあまり適当ではありません。それでは流出先である広島県、福岡県はどうなっているのか。「4都府県」への若者の転出超割合は広島県66%、福岡県70%と全国並みの水準です。

北部九州や四国でも隣接県と特徴的な関係を示している県がいくつかあり、地方の人口問題は県単位だけでなく、隣接県も含めた視野が必要だと気付かされます。こうした動きは「地域経済分析システム」(RESAS)を使うと簡単に確認できます。