人口減少が続き、少子化・高齢化が加速するという将来予測を聞いて、悲観的になるかチャンス到来と捉えるかは大きな分岐点となります。経営の原則に沿えば、需要の質的変化は大きなビジネスチャンスです。量的縮小のみに目を奪われてはいけません。新たな商品、新たなサービスへの需要獲得につながったり、新市場が形成されます。
将来の需要縮小予測どころか、わずか数年で顧客激減に見舞われた会社が、見事に立ち直った事例は皆さんの周囲にも存在しています。例えば、事業というには少々規模は小さいのですが、今も生き残っている街の生鮮食品店は大いに参考になります。
いまや地方の小さな街にも大手スーパーが進出し、広い売り場と駐車場を整備して商圏内の購買をほぼ独占しています。大手スーパーの進出によって地域で長年営業してきた商店の多くが客を奪われ、品揃えや売値・採算面で太刀打ちできず売上が減少し、経営が成り立たず後継者もいないところは閉店しました。しかしながら、スーパーで扱っていない特徴ある商品、例えば地元産の野菜、果物、肉類など、地域ブランドとなっている商品を揃える、新鮮さを売り物にする、対面販売で状況に応じて値引きをするなどの差別化を図った店には顧客が戻ってきました。
野菜と果物を扱うM商店の場合、顧客はスーパーでの購入が主体ですが、野菜だけは新鮮なこの店で、とか、贈答用に地元ブランドの果物を買いたい、という客です。また、商圏の広いスーパーが近くにあるおかげで遠方の新規客も立ち寄ってくれるようになりました。さらに、通信販売を始めたところ徐々に注文が増え、いまや店頭での売上に並ぶほどになっています。経営者は高齢ですが、事業は順調であることから娘が後継者として名乗りを上げ、今後はネット通販の開始によって事業を拡大する方針です。
家族経営のような規模の小さい会社は参考にならない、とおっしゃる方には、次の事例はいかがでしょうか。
(次回へつづく)