地域活性化のもうひとつの視点

地域活性化のテーマとして注目度が高いのが、観光資源開発や観光客の誘致、商店街のにぎわい復活、若者を惹きつけるイベントの開催、特産品開発や新産業の立上げなどですが、当たり前であるがゆえに忘れがちな視点があります。それは「既存の地元企業を応援する」ということです。どの地域にも、長年にわたって地元で活動し、雇用を生み、消費を拡大し、利益を地域に還元してきた中小企業がたくさん存在しています。ただ、残念なことに、消費者直結型の小売業やサービス業でない限り、企業名や事業内容が地元では知られていないことがあります。近所にある会社が、実はニッチ市場で国内シェアトップ企業であったり、高い技術力やサービスを有し売上の大半が海外や県外であったりする企業も珍しくはありません。マスコミに取り上げられて初めて知ることとなります。

業種、規模、業績を問わず、地元企業を知り、声援を送り続けることは地域経済活性化の一助となります。例えば、地元での知名度向上は人材の吸引力を高め、若者の地域外への流出を防止します。あるいは、業績不振に悩む企業に対して、理解ある関係者が協力することにより、企業再建や事業再構築を果たすこともできます。当センター設立の主旨も「地元企業を支援することで地域経済に貢献する」ことにあります。

数年前、某地域で「地域活性化プロジェクト」に参画したことがあります。先日、そのプロジェクトのリーダーだった人と久しぶりに再会しました。卓越した見識を持ち、いまも地域経済界のリーダーのひとりとしてご活躍中のその人も「地域経済活性化のカナメは地元企業の活力にあり」とのご意見で、「わが意を得たり」の思いでした。